「もう入社直前の2月だけど内定辞退をしたい」
こう考えた時、「そもそも内定辞退できるのか?」「損害賠償はされないのか?」
と心配になりますよね。
大学4年生が、入社直前の2月や3月に内定辞退をするときの対処方法を見ていきましょう。
入社直前の2月や3月に内定辞退をするときの対処方法
- 内定辞退をすることは可能
2週間前までに連絡をすることが必要
いったん入社するという選択肢もある
内定辞退をすることは可能
まず2月や3月であっても、4月1日入社の会社の内定辞退をすることは可能です。
日本では職業選択の自由がありますので、強制的に働かせることはできないですからね。
実際に2月や3月に内定辞退をする学生は意外といます。
「研修をしてみて、この会社で働いていく自信がなくなった」
「もう一度自分が希望する会社への就職にチャレンジしたい」
などの理由で、入社直前に内定辞退をするのですね。
ただ2月や3月の内定辞退が、まったく問題がないかというわけではありません。
内定辞退をするときの問題点・注意点についてみていきましょう。
2週間前までに報告しなければならないの?
よく内定辞退で噂されているのが、入社の2週間前までに辞退の連絡をしなければいけないということですよね。
これは民法627条の、
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
という規定から噂されているものです。
これは内定においても適用されるのでしょうか。
内定は「始期付解約権留保付労働契約」
そもそも内定は、「始期付解約権留保付労働契約」であると考えられています。
「始まりの時期が付いた解約権が留保されている労働契約」ということです。
難しいですね。
簡単に説明すると、条件の付いた労働契約を結んでいるということです。
ということは、民法627条の規定が適用されます。
2週間前の解約申し入れが必要
であるなら、内定を辞退するときは2週間前に解約の申し入れをしなければなりません。
何らかのトラブルを起こさないためには、2週間前に解約の申し入れ、いわゆる内定辞退の連絡をする必要があるのですね。
逆に考えると、2週間前に内定辞退の連絡をしさえすれば、いつでも内定辞退は可能だということです。
会社側が「内定辞退はダメだ、許さない!」と言ったとしても、2週間が経過すれば内定辞退は成立します。
2週間前ならいつでも内定辞退は可能
2月や3月といった入社直前に、内定辞退を採用担当者に連絡すると、ものすごく怒られます。
時には脅迫めいた恫喝をされることもあります。
まあこれは仕方ありません。
甘んじて受け入れましょう。
企業は新卒を一人採用するのに、数十万円の費用が必要です。
2月や3月に内定辞退をされると、すでに配属部署も決めているでしょうから、人員の配置まで見直す必要があります。
この時期に内定辞退をすることは、マナー違反であると言えるでしょう。
ただあくまでマナー違反であり、法律違反ではありません。
どうしても内定辞退をしたいのなら、2週間前に連絡をすれば、2週間後には自動的に内定辞退が成立します。
もし会社側が認めてくれなくても、内定辞退は成立するのですね。
入社日まで2週間がない時はどうなる?
すでに入社日まで2週間を切ってしまっているときはどうすればいいのでしょうか。
例えば入社日の前日に、内定辞退をしたいと考える方も中にはいます。
これは、法律的には問題があります。
損害賠償の対象になりうるということです。
ただ現実には、損害賠償を提起されることはほとんどないでしょう。
しかし損害賠償をされる可能性があることは確かです。
4月1日入社の予定なら、3月15日ぐらいには内定辞退を採用担当者に連絡する必要がありますね。
法律的には2週間前でも問題ないですが、マナー違反であることに変わりはありません。
大学にも連絡がいくでしょうし、今後は同じ大学から採用がなくなるかもしれません。
内定辞退をするときは、できるだけ早く連絡することを心がける必要がありますね。
入社してしばらく働いてみるという選択肢も
内定辞退をする理由はいろいろあると思います。
しかし2月や3月といった入社直前の内定辞退は、あまりおすすめできません。
まずは入社して、しばらく内定先の企業で働いてみるという選択肢はどうでしょうか。
内定ブルーという言葉がありますが、入社前に「入社したくない」という気持ちになる方はとても多いです。
もし
「入社してやっていく自信がない」
「入社後が不安だ」
という気持ちの問題なら、いったん入社してとりあえず働いてみてはいかがでしょうか。
入社してしばらく働いてみて、どうしても続けていくのが無理なら、またその時に辞めるかどうか判断するという方法もあります。
入社先がブラック企業というなら、内定辞退もありだと思います。
どうせいつかは辞めることになるでしょうからね。
ただブラック企業でないのなら、まずは一度入社して仕事をしてみるという方法も考えてください。
就職浪人は意外とシビア
入社直前の2月や3月に内定辞退をした場合、就職浪人をするケースが多いでしょう。
だだ、就職浪人は結構シビアな世界です。
採用担当者からすると、「なぜ就職浪人をしているのだろうか?」という疑問の目で見られてしまいますからね。
どうしても「就活に失敗した人」という目で見られる可能性が高くなってしまいます。
もちろん就職浪人をして、希望の企業から内定をもらえた方もいるでしょう。
しかし就職浪人をしたからといって、希望の企業に採用されるとは限らないので、その点は理解しておく必要がありますね。
第二新卒で転職するという方法もある
入社3年目までならば、第二新卒で転職をすることも可能です。
最近は入社3年目までに会社を辞める人が、全体の30%もいます。
その方たちの多くは、第二新卒として転職しているのですね。
この第二新卒での採用を、企業も活発に行うようになってきているのです。
内定辞退をして就職浪人をしなくても、いったん入社してもし本当に違う会社で働きたいのなら、その時に第二新卒で転職するという方法もあります。
入社直前の2月や3月に内定辞退を考えた時は、辞退するだけではなく別の方法もあるということを覚えておきましょう。
既卒で職歴なしよりも、社会人経験があるほうが転職には有利です。
社会人経験のためにも、まずは入社してみるのもありということですね。
会社を辞めることは悪いことではない
いまだに日本では、会社を辞めることは悪いことというマイナスイメージを持っている方が多いです。
しかしそんなことは全くありません。
こんな考えの人が多いからこそ、世の中にブラック企業がはびこっているのではないのでしょうか。
いま大学生で就活をしている方は、「いい会社に就職できなければ人生終わり」という気持ちの方もいるかもしれません。
ご安心ください。
そんなことはないです。
世の中には転職をして人生を成功させている方もたくさんいます。
「内定先の企業でやっていく自信がない」
という方も内定辞退をせずに、まずは働いてみてから会社を辞めても遅くはないです。
一度働いてみて、その仕事が自分に合わなかったら、会社を辞めて転職すればいいのです。
あまり終身雇用神話にこだわらずに、まずは内定先の企業に入社してチャレンジをすることも考えてみましょう。